キーン コーン カーン コーン


4校時目終了のチャイムが鳴る。

「お、もう昼休みか。亜紗美って奴が来ちまうな」

「え?なんでそれを…」

「いじめに関するお前の記憶をちょっと見せてもらったからな。お前の自殺計画だとここに来るんだろ?」

「まぁ・・・って、人の記憶を勝手にっ…」

「まぁまぁ。んじゃ、あとは任せたぜ。伸」

ツカサが目を閉じ、伸がゆっくりと開く。

「とりあえず、どっか隠れようか」

「う、うん」

2人はタンクらしきものの裏に隠れた。



 …。

 ・・・。

 ・・・。

 ・・・・・。


  キーン コーン カーン コーン


「…来なかったね」

「あれ?おかしいなぁ。…でも、半年くらい前の話だから、もう別れちゃったのかも」

―もしそうなら入りやすくなって好都合かもな―

「じゃあ、どこで待てばいい?」

「とりあえず学校が終わってからだよね」

「・・・ツカサが何か呼び出す方法ないのか?って」

「う〜ん・・・。もう別れてるんであれば、1人で帰ってるかも」

―先回りして待ち伏せすっか―

「先回りするなら今のうちに外に出ないと。僕制服じゃないし」

5校時目の最中、2人は誰にも見つからないように、そっと学校を出た。


  下校時刻


亜紗美が、数人の友達と学校から出てきた。

「…1人じゃなかったね」

「やっぱり1人じゃないとダメ、だよね・・・。でも、友達なら途中で別れるんじゃない?」

―なら家の前で待ち伏せだな。作戦は・・・―

「了解」

「?」

「家の前で待ち伏せだって」



「バイバーイ」

亜紗美は友達と別れ、ケータイをいじりながら1人で家に向かっている。

目の前の角を右に曲がれば、すぐに亜紗美の家だった。

その角を曲がろうとしたとき・・・

  ドンッ!

「キャッ!!」

男が亜紗美にぶつかってきた。亜紗美がしりもちをつく。

「いった〜い・・・ちょっと何すん―」

「ごめん。大丈夫?」

ぶつかってきた男が、心配そうに亜紗美の頬に手を触れ、ジッと亜紗美の目を見る。

「えっ…」

亜紗美の顔が赤くなった瞬間、亜紗美の頭の中に何かが入ってきた。

―グッジョブ!伸―

それは、ツカサだった。

亜紗美の意識がもうろうとなったのを確認すると、伸は疲れたようにため息をついた。

麻奈は、隠れながらそれを見ていた。



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